賃貸経営の転換ポイント「デッドクロス現象」

賃貸経営の転換ポイント「デッドクロス現象」

一般的に、賃貸経営は所得税対策として有効であると言われていますが、その大きな理由の一つは賃貸物件そのものが減価償却できる資産だからです。

 

 

 

 

 

しかし、減価償却は大きな節税効果がある反面、その仕組みを良く理解しないと、財務が危機的状況にさらされることになります。 そのため、不動産投資と税務の関係をしっかりと把握する必要があります。

不動産投資に特有の数字のトリックを知る

減価償却費は、初期投資分を毎年分割して経費にしているにすぎません。つまり、実際は家主様の財布からお金が出ていくわけではないので、実際に手元に残るキャッシュより、申告所得の方が少なくなるという現象が起きます。

 

その結果、所得が節税できることになるのです。ところがその結果この減価償却費には、大きな罠が潜んでいます。 新築当初は、減価償却が大きいので、その分大きな節税メリットを享受できるのですが、年月の経過と共にその節税効果も薄れていきます。 それは、建物、設備、それぞれの法定耐用年数の違いが関係しています。

 

建物の償却方法は全体の約7割(簡便法による)が定額法でコンクリートは47年、鉄骨造が34年、木造は22年で毎年均等に経費計上していきます。

 

一方、設備は全体の約3割(簡便法による)を定率法で償却していくのが一般的で、その基本的な償却年数(法定耐用年数)は15年となっています。

元利均等返済方式と元金均等返済方式

下図を見れば、経過年数が浅ければ浅いほど、税金対策に有利な減価償却費が多くなっています。しかし、いつまでもその節税効果が続くわけではありません。15年経れば設備部分の減価償却費は、すっかりなくなってしまうからです。(図1-①参照)
更にローン返済方法が追い打ちをかけることがあります。(図1-②参照)
このローンの返済方法には元利均等返済方式と元金均等返済方式の2種類があります。
元利均等返済方式は毎月、元金と金利の合計額を一定額にして返済していく方式で、返済開始当初は金利の返済がほとんどで、返済が進むごとに元金の返済割合が高くなっていくのが特徴です。(図2-①参照)
また、元金均等返済方式は、毎月の元金返済を一定にする返済方式で、返済初期は金利と元金の合計額が大きくなりますが、毎月額で元金が減っていくためにトータルでみなければ、元利均等返済よりも金利の総支払額は少なくなるのが特徴です。(図2-②参照)

経費にならない元金返済が増え経費にできる利息が減る

基本的に賃貸アパートを新築するときは、その資金を銀行から借り入れて事業を行いますが、多くの方が元利均等返済方式で借りているようです。
なぜなら、元利均等返済なら毎月の元利返済額が一定なので事業計画が立てやすく、元金は時間をかけてゆっくり返済することができるからです。
また、相続対策目的で賃貸アパートなどを建てる場合は、長い期間、元本残高(借入金債務)が多く残っているので、相続資産を圧縮させることができます。
したがって、相続税対策では、元利均等返済方式で建築資金を借り入れるのが基本になります。

図1

また、金融機関にとっては、より金利(利益)の稼げる貸方が元利均等返済方式ですから、金融条件によっては元利均等しか選べないこともあります。この元利均等返済は、返済が進むにしたがって毎月の返済に占める元金の割合が多くなっていくのが特徴です。
実は、ここに注意を払わなくてはなりません。なぜなら、元金の返済は、借りたお金を返すだけなので経費にならないからです。何度も言いますが、元利均等返済方式は、毎月の返済額は一定であっても、毎月の返済額に占める元金の割合が増えていくのが特徴です。
元金の返済額が増えていくという事は、だんだん経費にならない元金返済が増え、経費にできる利息が減っているという事です。(図2-①参照)
これが進んでいくと、いずれ実際のキャッシュフローよりも申告所得の方が多くなってしまう現象が起きることになります。
(図1参照)

用語解説
簡便法は、原則的な計算によらず簡便的な税会計が、認められる方法の事で、法律で認められている方法ではありません。税務計算の実務では建物0.7、設備0.3の割合で分けて減価償却計算することが一般的に認められています。
減価償却費は、所得税の計算上、支出を伴わない経費。建物などを取得した価格をベースに税務省が定めた耐用年数に応じて経費に算入します。
法定耐用年数は物理的なものではなく、税法上の償却年数により定められる耐用年数です。

デッドクロス現象とは?

実際にお金は出て行かなくても、経費にできる減価償却費は築年数が新しいほど額が多く、経年とともに減少していきます。一方、実際にはお金はお金は出ていくものの、経費にできない元金返済分は当初の額は少ないが、経年と共にその額は大きくなっていきます。そうなるとお互いの額が逆転してしてしまうポイントに出くわします。このクロスするポイントがデッドクロスで、デッドクロスが発生することをデッドクロス現象と呼んでいます。このポイント以前は、所得税の軽減効果がありますが、これ以降は実際に手元に残っているキャシッュよりも申告所得の方が多くなってしまうため、何かしら対策を講じなければ満室経営を続けていても年々財務状態は悪化することになります。このデッドクロスはローンが元利均等返済であれば、およそどのような構造の建物でも築後10年から15年ごろに訪れることになります。一方元金均等返済の場合はもっと早く、築後約7年前後でデッドクロス現象が起きることになります。

図2

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